タワマンの修繕費は、建物が老朽化して大規模な修理が必要になったときのために積み立てておく資金です。
修繕費はすべての所有者から毎月徴収されますが、タワマンにはさまざまな共用設備があり、一般のマンションよりも修繕費が高額です。
もし、修繕費が払えない状況に陥るとどうなってしまうのでしょうか。
この記事では、タワマンの修繕費の滞納がどのような状況を招くのかを解説し、払えなくなったときの対策についてお伝えします。
タワマンの修繕費・管理費とは
修繕費とは建物の老朽化にともない発生する外壁や屋上の塗装、エレベータや給排管のリニューアルなどの大規模修繕に積み立てておく費用です。
一方、管理費は建物や敷地内の清掃や切れた電球の交換など、日常のメンテナンスに使われます。
修繕費と管理費はタワマンの管理組合に支払います。
「区分所有法」ですべてのタワマンの所有者は管理組合への加入が定められており、修繕費や管理費の支払いは組合員の義務です。
タワマンの所有者は、日々の保守点検費用と将来の大規模修繕費用を共同で負担します。
タワマンの修繕費・管理費が払えないとどうなる?
タワマンの修繕費や管理費が払えないと、最悪の場合、財産が差し押さえられ競売にかけられる可能性があります。
修繕費や管理費の滞納者が出るとタワマンの維持管理が滞ってしまい、住み心地に悪影響をおよぼします。
また、修繕費や管理費の滞納のある物件は、資産価値が下がる恐れがあるのです。
そのような状況を避けるために、管理組合は滞納者に支払いを促します。
タワマンで修繕費や管理費を滞納した際の催促の流れは、以下の通りです。
- 管理組合から修繕費・管理費の支払いを催促される
- 管理組合から裁判所に支払督促の申立てが行われる
- 裁判所から滞納者に支払督促が届く
- 支払督促に応じないと財産が差し押さえられる
1.管理組合から修繕費・管理費の支払いを催促される
修繕費や管理費の滞納がある場合は、タワマンの管理組合は口頭や文書で支払いを催促します。
管理組合からの支払いの催促は、以下の順番で行われます。
- 修繕費や管理費の滞納者が出ると、管理組合から委託を受けた管理会社が、口頭やはがきなどで支払いを催促
- 催促をしても滞納金を支払わないと、管理組合の役員が滞納理由や支払いの意思についてヒアリングする
- 滞納者に支払う意思があっても金銭的な理由で払えないときは、延期や分割などで支払いの猶予などの話し合いをもつ
- 滞納者に支払う意思がなければ、弁護士を立てて内容証明郵便を発送する
内容証明郵便は修繕費や管理費の滞納に毅然とした対応をとる意思を表し、滞納者に心理的なプレッシャーを与えます。
2.管理組合から裁判所に支払督促の申立てが行われる
修繕費や管理費の支払いの催促に応じず滞納が続くと、管理組合は裁判所に支払督促を申立てます。
支払督促とは債権者(管理組合)の申立て内容を簡易裁判所が審査して、債務者(滞納者)に支払いを命じる手続きです。
- 支払督促の申立ての流れは以下の通りです。
- 管理組合から簡易裁判所に支払督促の申立てを行う
- 簡易裁判所は支払督促の申立てを審査する
- 支払督促の審査が通ると支払督促が発行され滞納者に送付する
支払督促は法的効力をもっているため、滞納者は無視や放置はできず、何らかの対応を迫られます。
3.裁判所から滞納者に支払督促が届く
支払督促を受けた滞納者は、支払いに応じるか、または、2週間以内に督促異議を申し立てるかのいずれかの行動をとる必要があります。
もし、支払督促に対して行動しないときは仮執行宣言が付され、裁判しなくても強制執行を受ける可能性が生じるのです。
支払督促に異議申し立てをする場合は、同封されている「督促異議申立書」を裁判所に提出します。
滞納者が督促に異議を申し立てると、訴訟の手続きが始まります。
4.支払督促に応じないと財産が差し押さえられる
修繕費や管理費を滞納し続けると、給与や銀行口座、車や家具などが差し押さえられます。
また、最悪のケースでは、管理組合から競売を申し立てられて裁判所を通じて強制的に競売にかけられる可能性もあるのです。
管理組合が滞納者の住居の競売を裁判所に請求するには、以下の条件を満たす必要があります。
(区分所有権の競売の請求)
第五十九条 第五十七条第一項に規定する場合において、第六条第一項に規定する行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しく、他の方法によつてはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときは、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、集会の決議に基づき、訴えをもつて、当該行為に係る区分所有者の区分所有権及び敷地利用権の競売を請求することができる。
参照:e-Gov法令検索
修繕費や管理費の滞納は区分所有法第59条第1項の条件に当てはまるという裁判例が多く、競売以外に滞納金の回収方法がないときは、請求が認められる可能性があります。
タワマンの修繕費・管理費が払えないときの対策
タワーマンションは、眺望や設備が魅力的な一方で、修繕費や管理費が高額になることが多いです。
これらの費用はマンションの維持・管理に欠かせないものですが、予想以上に負担が大きくなり、支払いが困難になるケースもあります。
そんなとき、どのように対処すればよいのでしょうか?ここでは、タワマンの修繕費・管理費が払えなくなったときの対策について解説します。
支払いが難しいときの初期対応
まず、支払いが難しいと感じた時点で、早めに行動を起こすことが重要です。
問題を放置すると、未納状態が続き、管理組合からの督促や遅延損害金の発生、最悪の場合は法的措置にまで発展することがあります。
以下の初期対応を検討しましょう。
支払いの延期や分割を相談する
管理組合や管理会社に事情を説明し、支払いの延期や分割払いをお願いすることが可能です。
多くの管理組合は、住民の状況に応じて柔軟に対応してくれることがあります。
誠実に相談することで、短期間の延長や月々の支払い額を減らす分割払いが認められることもあります。
節約・家計の見直しをする
支出の見直しを行い、管理費や修繕費を捻出できるようにすることも検討しましょう。
家計を整理し、無駄な出費を削減することで、資金を確保できる場合があります。
例えば、固定費の見直しや、趣味・娯楽にかかる費用を削ることで、一定の金額を捻出できるかもしれません。
2. 長期的な対策を考える
もし、支払いが一時的な問題でなく、長期的に厳しいと感じる場合は、以下のような対策を検討する必要があります。
ローンの借り換えやリファイナンス
住宅ローンの金利が高く、月々の返済が負担になっている場合は、ローンの借り換えやリファイナンスを検討しましょう。
低金利のローンに借り換えることで、月々の支払いが軽減され、修繕費や管理費の支払いに回せる余裕が生まれることがあります。
賃貸や売却を検討する
支払いがどうしても難しい場合、タワマンを賃貸に出す、または売却することも一つの選択肢です。
賃貸に出すことで家賃収入を得て、修繕費や管理費の支払いに充てることができます。
また、売却によって得た資金でローンを完済し、より手頃な物件に住み替えるという方法もあります。
自治体や専門家に相談する
金銭的な問題が深刻で、自力で解決が難しい場合は、自治体や専門家に相談することも考えましょう。
自治体には、住宅ローンの返済に関する相談窓口や、生活困窮者を支援する制度がある場合があります。
また、ファイナンシャルプランナーや弁護士に相談することで、状況に応じた適切なアドバイスが得られるでしょう。
3. 予防策としての積立
将来的な支払いのために、あらかじめ資金を積み立てておくことも重要です。
タワーマンションでは、修繕費や管理費が増加する傾向にあるため、収入の一部を毎月積み立てておくことで、いざというときに備えることができます。
特に、修繕積立金は将来的な大規模修繕のための資金ですので、長期的な視点で計画的に備えることが大切です。
タワーマンションの修繕費や管理費が払えないときは、早めに対策を講じることが重要です。
支払いの相談をする、家計を見直す、ローンの借り換えや賃貸・売却の検討など、状況に応じた対応を取ることで、負担を軽減し、安定した生活を維持することができます。
また、将来に備えて、積立や予防策を講じておくことも大切です。
困ったときは一人で悩まず、専門家に相談することを忘れずに、適切な対策を講じましょう。
タワマンの修繕費が払えなくなる状況
マンションの大規模修繕にかかる費用が、修繕費の滞納や資材、人件費の高騰で不足している管理組合が増加しています。
修繕費の滞納は、平成30年度マンション総合調査結果によると全体で24.6%にのぼり、将来のマンションの維持管理に暗い影を落としています。
タワマンの所有者が修繕費を払えなくなる理由は、以下の通りです。
- 老後の収入減少
- 住人が減少し一人当たりの負担が増加
- 段階積立増額方式を採用している
老後の収入減少
マンションには修繕費、管理費の他に固定資産税などの高額な維持費がかかりますが、老後は収入の減少で、これらの費用が払えなくなる人もいます。
年齢を重ねることによる収入減少の理由は、以下の通りです。
老後は現役時代より収入が減少し医療費などが増加するため、長期的な視点で生活費をコントロールする必要があります。
住人が減少し一人当たりの負担が増加
修繕費の相場は、戸数の少ないマンションほど高い傾向にあります。
また、マンションの空室が増えると、1戸あたりの修繕積立金の負担額が大きくなる可能性があります。
住人が減少し一人当たりの修繕費が増加すると、支払いに耐えられなくなる人が出てくるでしょう。
マンションの修繕費は、さまざまな理由で上がる可能性があるので注意が必要です。
段階積立増額方式を採用している
修繕費の段階積立増額方式は築年数が増加するほど値上がりするため、滞納の要因になることがあります。
修繕費の段階増額積立方式と均等積立方式には、以下のような違いがあります。
以前の修繕費は均等積立方式が主流でしたが、平成30年度マンション総合調査結果では全体の43.4%が段階増額積立方式を採用しています。
段階増額積立方式を採用するマンションの増加が、所有者の負担を重くしているようです。
タワマンの修繕費の相場は高い
タワマンは一般のマンションよりも修繕費や管理費が高額です。
以下は、マンション形態別の平均修繕費です。
マンションの形態 | 月々の修繕費 |
3階建て以下 | 9,745円 |
4〜5階建て | 1万3,147円 |
6〜10階建て | 1万1,252円 |
11〜19階建て | 1万53円 |
20階建て以上 | 1万2,305円 |
以下はマンションの形態別の平均管理費です。
マンションの形態 | 月々の管理費 |
3階建て以下 | 1万4,965円 |
4〜5階建て | 1万6,892円 |
6〜10階建て | 1万5,307円 |
11〜19階建て | 1万6,155円 |
20階建て以上 | 2万5,069円 |
タワマンの修繕費と管理費はなぜ、一般のマンションよりも高いのでしょうか。
タワマンの修繕費の相場が高い理由
高層階の修繕は低層階よりも費用がかかります。
タワマンの修繕費が高額になる理由には、以下のものが挙げられます。
割高な維持管理費 | 高層建築のメンテナンスは外壁や窓ガラスの清掃など、特殊な技術や機材が必要なためコストが高い |
豪華な共用施設 | フィットネスジムやパーティルーム、ゲストルームなど一般のマンションにはない設備に多額の維持費がかかる |
高い水準のセキュリティシステム | 24時間体制のセキュリティにかかる人件費や最新システムの導入費用や管理に高いコストを要する |
エレベータの数が多い | 複数のエレベータを運用するタワーマンションはメンテナンスや点検に多くの費用を必要とする |
耐震・耐久設備 | 高層建築の耐震・耐久設備は特殊な工法や建材を使用している |
タワマンは豪華な設備を兼ね備えた高層建築であるため、一般のマンションよりも修繕や管理に多くの費用が必要です。
タワマンの修繕費は上がる可能性がある
建材や人件費の高騰で、今後修繕費が上がる可能性があります。
高層建築のタワマンは風雨や紫外線によってダメージを受けやすいため、定期的に大規模な修繕が必要です。
しかし、その際にかかる費用が、年を追うごとに上昇傾向にあります。
タワマンの修繕費が上がる理由には、以下のものがあります。
建材・人件費の高騰 | 大規模修繕する際、長期修繕計画の作成時よりも建材費や人件費が高騰し修繕費が不足した |
共用施設のアップグレード | 居住者から共用設備の刷新を求める声が上がると、それに応えるための追加の修繕費町が発生する |
災害対策の強化 | 災害対策に充てるため、修繕費の追加徴収が行われる可能性がある |
タワマンの居住者には富裕層が多く、住み心地の改善や安全対策の強化に費用を惜しまない人もいるため、修繕費が高額になりがちです。
タワマンの修繕費が払えないときは
どうしてもタワマンの修繕費が払えないと感じるときは、売却も検討してください。
修繕費や管理費の滞納分は、買い手が引き継がなければならないため、売却価格に影響を与えます。
滞納額が膨らむ前に売却を決断した方が、高値が付く可能性があるのです。
タワマンをなるべく高く売却するための手順と、資産価値を上げる方法を紹介します。
タワマンの売却手順
タワマンなどの不動産の売却には、一連の流れが存在します。
より高値での売却を望むなら、手順に沿って行うことをおすすめします。
タワマンを売却する際の手順は、以下の通りです。
1 | 机上査定 | 机上査定はポータルサイトなどを利用して複数の会社に依頼する 査定額の根拠が明確な会社を3社以上選び訪問査定を受ける |
2 | 訪問査定 | 仲介会社の担当者が現地を訪れるため、誠実さや売却に前向きであるかなどの人柄を見定める 担当者にどのような販売戦略があるのかも確認する |
3 | 仲介会社の決定 | 訪問査定の結果が出揃ったところで、査定額に妥当性のあり誠実な担当者のいる会社に仲介を任せる |
4 | 売り出し | 売り出し価格は値下げ交渉を挑まれることを考慮して少し高めに設定する |
5 | 売買契約 | 購入希望者の内見や価格交渉を経て、もっとも高い価格で購入してくれる買い手と売買契約を結ぶ |
タワマンを高値で売却するための活動は、査定を受ける段階から始まっています。
査定を受ける中で優秀で誠実な担当者を見定め、理想の価格での売却を目指してください。
タワマンをリノベして資産価値を高めて売却する
高値で売却するために、リノベーションして資産価値を高めてから売却する方法があります。
リノベーションは時代にあった間取りへの変更や最新の設備に入れ替えるための大規模な工事を行い、既存の部屋を新築のように造り替えます。
本来、リノベーションには多額の初期費用が必要です。
しかし、リノアップなら初期費用なしでリノベーションを施し、資産価値を高めてからマンションの売却が可能です。
タワマンの売却を考えているなら、マンションのリノベーション売却専門家のリノアップに相談してください。
タワマンの修繕費が払えない!滞納が続いたときの最悪の状況と対策も解説!まとめ
タワマンに住むためには、高額な修繕費を毎月支払う必要があります。
しかし、何らかの事情で修繕費が支払えなくなると、管理組合から催促を受けてしまいます。
- タワマンの修繕費が払えないと管理組合から催促や督促を受ける
- 支払督促を受けた場合は、2週間以内に異議申し立てしないと強制執行を受ける可能性がある
- マンションの修繕費の滞納者が増加しており「平成30年度マンション総合調査結果」によると全体の24.6%で発生している
- タワマンの修繕費が払えないときは売却も視野に入れて対策を検討する
- タワマンを高値で売却するために、リノベーションを施してから売り出す手法がある
タワマンは一般のマンションに比べ、購入価格だけでなく維持費も高額です。
タワマンでの快適な生活を続けるために長期的な視点でコストを計算し、修繕費と管理費の支払いに備える必要があります。
「初期費用なし」
「後払い」でマンションの
リノベーション・査定アップ・
売却までを
専門家が一括サポート
リノアップは、「マンションをできるだけ高く売りたい」人のための、初期費用リスクなしでマンションのリノベーションから売却までをまるっと専門家にお任せできる、新しいワンストップサービスです。
本来初期投資として発生するリノベーション費用を「マンション売却後の後払い」にすることで、どなたでも初期費用を気にすることなく、低リスクでお手持ちのマンションの資産価値を高め、売却が可能となります。