奥多摩町は東京都の北西部にある人口4,567人(2024年4月1日現在)の街で、都内でありながら豊かな自然があふれるエリアです。
都心まで片道約2時間かかるなど不便な点はありますが、田舎暮らしにあこがれて移住する人が増えています。
しかし、今まで都会の生活に慣れた人が奥多摩に移り住むと、厳しい自然環境や仕事探しの難易度に戸惑い、デメリットを感じることも多いようです。
この記事では、奥多摩移住のデメリットとメリットについて解説し、田舎暮らしを成功させるための移住支援の活用や仕事探しについてお伝えします。
奥多摩移住のデメリットとメリット
奥多摩町は東京都でありながら、緑豊かな山々と清らかな水をたたえる湖など自然の恩恵が満ちています。
都心まで電車で2時間ほどかかる距離にありますが、リモートワークが一般化したことで奥多摩に移り住む人が増加しています。
奥多摩は登山やキャンプが好きな人の移住先としておすすめです。
しかし、移住した人の中には、描いていたイメージと実際の生活のギャップにデメリットを感じている人もいます。
奥多摩への移住は、デメリットとメリットについて理解して検討する必要があります。
奥多摩移住のデメリット
都会にはない豊かな自然や静けさを求めて、奥多摩に移り住む人が増えています。
移住先として人気の奥多摩ですが、住んでみてはじめてわかるデメリットも存在します。
奥多摩に移住した人が感じるデメリットは、以下の通りです。
仕事探しが難しい
奥多摩での仕事の種類は、東京23区に比べると少ないのが現状です。
リモートワークを主体としている人は、奥多摩での仕事にほとんど問題はありませんが、再就職を希望する人には思うような職種を選べないケースがあります。
奥多摩で仕事を探す際は、これまで培ったキャリアや業界の知識を活かせる仕事につけない可能性があります。
また、仕事を辞めて奥多摩に移り住んでから新しい仕事を探し始めるよりも、転職エージェントなどを利用して就職を決めてから移住する方が安心です。
奥多摩での職探しは都会よりも時間がかかる場合があるため、早めに準備するのが賢明です。
▼田舎に移住して後悔しないためのノウハウについて詳しく知りたい人は、こちらの記事もご覧ください。
都心まで電車で2時間かかりアクセスが不便
奥多摩にはJR青梅線が通っており、町内には以下の駅があります。
- 奥多摩駅
- 川井駅
- 古里駅
- 白丸駅
- 鳩ノ巣駅
奥多摩は新宿まで電車で約2時間かかり、青梅駅で乗り換えが必要なため、都心へのアクセスが不便です。
また、高速道路の最寄りインターチェンジである圏央道の青梅ICまで、約1時間かかります。
奥多摩は、電車・車ともにアクセスが不便なエリアといえるでしょう。
移動に車が必要
東京の都心部では公共交通機関が発達しているため、電車やバス、タクシーで移動が可能ですが、奥多摩では移動に車が必要です。
奥多摩のような郊外のエリアでは公共交通機関のネットワークが限定的であるため、生活に車やバイクなどの移動手段が欠かせません
車を所有するには購入や維持に費用がかかり、都会での生活では必要のなかった支出が発生します。
田舎生活に車が必要なことが、移住の決断の妨げになっている人も多くいます。
▼車なしでも快適に生活できる移住先について知りたい人は、こちらの記事も参考にしてください。
最寄りのスーパーまで30分
奥多摩町には大型のスーパーマーケットが1店舗もなく、隣の青梅市まで買い出しに行く必要があります。
また、24時間営業しているコンビニも、町内にあるのは1店舗のみです。
奥多摩の食料品などを扱う商業施設は個人商店が中心で、比較的買い物に不便な街です。
奥多摩で食料品を扱う個人商店には、以下の3店舗があります。
- 井登屋商店(小型のスーパーマーケット)
- 本橋青果店(青果店)
- 福次商店(米販売店)
奥多摩へ移住する際は、食料や日用品が都会ほど簡単に購入できないことを理解する必要があります。
獣害の可能性がある
奥多摩は野生のサルやイノシシ、シカなどの生息地で、これらの動物と頻繁に遭遇します。
野生動物が人や農作物に被害を与える場合もあり、獣害は奥多摩で生活する際のデメリットの一つです。
また、都会に比べ虫も多く、苦手な人にとっては移住して後悔を感じる大きな要因になっています。
奥多摩に移住して自然を身近に感じるためには、動物や虫と共存する覚悟が必要です。
奥多摩で猿を約5匹、411号線の山梨県入ったところで猿(親猿にしがみついた子猿もいた)を10匹以上見かけた。冬場で山に食料がなくて、人里に探しにきてんだなと。獣害やべえなあという所感。後、車の音がなくても、野生動物いるからマジで轢きかねない。怖すぎる。
— さむす@筋トレと自転車とボドゲ (@samusu64) December 24, 2022
下書き保存してた鹿の話→以前、奥多摩は雲取山の山中にある三条の湯で「山が痩せている」という話を聞いた。問題の主役は鹿。いわゆる獣害。鹿は天敵の存在しない国立公園内で繁殖力を発揮し、山中の植物、樹木、樹皮に至るまで食べ尽くす。若い木々が育たず、スカスカになって直接日光のあたる山肌に
— PANDA (@takemount2017) September 13, 2022
昨日植え付けした奥多摩の日溜りの段々畑です。写真①は全景で写真②はビタミン菜、写真③はノザワ菜、写真④は小松菜です。春に向かって野菜がすくすくと育つよう祈っております。奥多摩ではハクビシンや猪の獣害防止で葉物が多いようです。敬具 pic.twitter.com/wmoynIu3ko
— 山宮美一 (@yamamiyay) September 28, 2015
奥多摩移住のメリット
奥多摩はブナやミズナラなどの広葉樹が生い茂る山に囲まれ、春には若葉、秋には紅葉と四季の移り変わりによってさまざまな景色が楽しめます。
奥多摩の空気がきれいで静かな環境は、子どもの成長にとってもよい影響を与えるでしょう。
奥多摩移住には、以下のメリットがあります。
自然が豊かで環境がよい
奥多摩には日本全国から登山客が訪れるほどの、緑豊かな美しい山々があります。
奥多摩の主な山には、以下のものが挙げられます。
緑豊かな自然に囲まれた奥多摩は、都会で感じるような騒音や人混みによるストレスから解放され、リラックスした日常生活をおくれます。
奥多摩は、心身をリフレッシュする環境が整っています。
治安がよい
奥多摩は東京都の中でも治安のよい地域です。
地元の人たちのコミュニティ意識が高く、警察官が町内のパトロールや住民への声かけを積極的におこなうなどで治安が保たれています。
平成25年の統計データでは、西多摩郡の犯罪発生件数は4,262件でしたが、内、奥多摩町の犯罪発生件数は24件でした。
東京都西多摩郡犯罪発生件数(平成25年) | |
市町村名 | 犯罪発生件数 |
青梅市 | 1,305 |
羽村市 | 775 |
福生市 | 743 |
あきる野市 | 647 |
瑞穂町 | 587 |
日の出町 | 176 |
奥多摩町 | 24 |
檜原村 | 5 |
この統計データから、奥多摩町は犯罪の発生件数が少なく、治安がよいことが伺えます。
物件が安く暮らしにかかる費用が抑えられる
奥多摩は東京都心に比べて家賃が安く、住居費が抑えられます。
奥多摩町の2023年の基準地価の平均金額は2万8,700円/㎡で、東京都全域の住宅地の平均地価公示価格45万2,100円/㎡に比べると大幅に安く、その結果家賃相場も低くなります。
基準地価は都道府県、地価公示は国土交通省が発表するもので厳密には比較できませんが、奥多摩の地価相場が東京全体の地価相場に比べて、低いことがイメージできるでしょう。
奥多摩の民間賃貸住宅の家賃相場は、4〜5DKで4〜6万円程度、町営の若者住宅なら2〜3万円程度で借りられるため、暮らしにかかる費用が少なく済みます。
すべての小中学校が駅から5分
奥多摩町には小学校が2校、中学校が1校あります。
奥多摩町にある公立の小中学校は、以下の通りです。
奥多摩町のすべての公立小中学校は、駅から徒歩5分圏内に建てられており、学校から遠い場所に住んでいる児童と生徒が、無理なく登校できるように配慮しています。
また、通学に必要なバスや電車の定期券を無償で交付しています。
奥多摩町の移住支援と住宅支援
奥多摩町では移住を検討している人に向けて、奥多摩での生活に関する疑問や不安を解消するための相談窓口を設置しています。
また、移住後に孤立しないように、コミュニティへの参加や地元の人との交流の機会をつくりサポートしています。
奥多摩町の手厚い移住支援は、自然豊かな地域で新しい人生を始めたい人にとって、励ましとなるでしょう。
さらに、奥多摩町は次世代を担う若者の移住・定住を最重点施策に位置付けて、定住支援策と住宅支援策を打ち出しました。
町が実施する移住者の定住を促進するための支援策には、以下の内容があります。
- 定住支援金
- 0円空家バンク
- 町営若者住宅・子育て応援住宅
- 新築・改装支援
定住支援金
奥多摩町は都内の条件不利地域以外から奥多摩町へ移住し、町内で就職または起業して5年以上定住する意思を示した人に、「定住促進サポート事業支援金」を交付しています。
奥多摩町の定住促進サポート事業支援金は、奥多摩に定住した2人以上の世帯に最大60万円(単身世帯は最大30万円)、起業した人には最大100万円が支給されます。
この支援金は、奥多摩町への移住・定住を促進、町内の人手不足解消を目的に設立されました。
定住促進サポート事業支援金は、申請時に50歳以下であれば受けられます。
奥多摩町は定住の意思がある人を手厚く支援し、地域の活性化をはかろうと考えています。
0円空家バンク
奥多摩町では空家を手放したい人と、空家を手に入れて活用したい人のマッチングをおこなっています。
「0円空家バンク」に登録されている物件は所有者が無償で譲渡したい物件であるため、空家を手に入れたい人は無料で取得できます。
ただし、多くの場合、居住するにはリフォームが必要になるため、全くタダで住めるわけではありません。(注:2024年4月現在、奥多摩町に登録されている0円空家バンクの物件はありません)
また、奥多摩町では0円空家バンク以外に、有償の「奥多摩町空家バンク」「若者用空き家バンク」も運営していて、物件情報をHPページで公開しています。
町営若者住宅・子育て応援住宅
奥多摩町では世帯主が40歳以下の夫婦か、50歳以下で中学生以下の子どもがいる世帯を対象に、一般的な住宅よりも低額で借りられる「町営若者住宅」を運営しています。
町営若者住宅の家賃相場は2万〜3万3,000円です。
また、43歳以下で中学生以下の子どものいる世帯に対して、「町営子育て応援住宅」を整備しています。
町営子育て応援住宅の使用量は月5万円で、中学生以下の子ども1人につき5,000円減額されます。
利用条件は、地域活動に積極的に参加することです。
町営子育て応援住宅に22年間定住した人は、住宅の無償譲与が受けられます。
新築・改装支援
奥多摩町では「奥多摩町リフォーム補助金」の制度を設けています。
この制度は、定住を目的として住宅の新築やリフォームする人に、補助金の交付や金融機関からの借入で発生する利子の補給をおこなっています。
新築と増改築への補助金は最大200万円、利子補給は年間最大30万円(最長3年間)が受けられます。
都心に通勤するなら隣の青梅市もおすすめ
自然豊かな奥多摩に移住したいけれど仕事はそのまま都心で続けたいなら、隣の青梅市への移住もおすすめです。
青梅駅からは乗り換えなしで都心まで約1時間で通えるのに加え、奥多摩にもほど近く、都心にはない静かな環境と豊かな自然を感じられます。
青梅市は商業施設も多く、奥多摩に比べると生活しやすいメリットもあります。
都心への通勤、自然の恵み、生活の利便性をすべて手に入れるなら、青梅市への移住も検討してみてください。
▼都心から東京の23区外へ住み替えを考えている人は、こちらの記事も参考にしてください。
奥多摩移住のデメリットとは?空家を活用した移住支援や仕事探しの問題点を解説まとめ
奥多摩に移住して感じるデメリットとメリットについて解説しました。
- 奥多摩移住のデメリットは、仕事の種類が少なく自分のキャリアを活かせないこともある
- 奥多摩移住のデメリットは、公共交通機関、車ともにアクセスが不便
- 奥多摩移住のデメリットは、町内にスーパーマーケットがない
- 奥多摩移住のデメリットは、野生動物による獣害に遭う可能性がある
- 奥多摩移住のメリットは、日常生活で豊かな自然を満喫できる
- 奥多摩移住のメリットは、治安がよく安心して過ごせる
- 奥多摩移住のメリットは、学校が駅から近く通学の便がよい
- 奥多摩移住のメリットは、手厚い移住支援が受けられる
- 都心に通勤するつもりなら、隣の青梅市への移住も検討する
奥多摩は、都会にはない豊かな自然を身近に感じながら生活できます。
しかし、実際の移住生活はイメージとのギャップを感じることも多く、あふれる自然はときとして厳しい環境に変わります。
奥多摩への移住は、デメリットとメリットを理解して検討しましょう。
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