まだ誰も使用していない賃貸の新築はとてもきれいで、気分よく新しい生活が始められます。
設備も最新のものが取り付けられているので、質の高い暮らしが可能です。
しかし、建てられたばかりの賃貸物件には新築特有の欠点もあり、やめた方がいいという人もいます。
賃貸の新築に住みたいと考えているなら、長所と短所を吟味してから決断しなければいけません。
この記事では賃貸の新築のメリットとデメリットを解説し、やめた方がいいという理由についてお伝えします。
さらに、新築物件を選ぶ際に注意するべき点も紹介します。
賃貸の新築物件とは
不動産広告などで新築と掲載されている物件には、厳格な定義があります。
賃貸の新築物件として表示してよいのは、以下に当てはまるものに限られます。
- 建築完了日から1年未満
- 誰も入居していない・誰も使用していない
新築は2つの条件を両方とも満たしている必要があり、新築以外の物件はすべて中古と表示されます。
賃貸の新築は建てられたばかりで、まだ誰も住んでいない物件という付加価値があるため、多くの人があこがれています。
賃貸の新築物件のデメリット
賃貸の新築物件は入居募集時にまだ建築中であるなどの理由から、やめた方がいいといわれるデメリットがあります。
賃貸の新築物件のデメリットは、以下の通りです。
- 家賃が高い
- 内見ができない
- 予定したタイミングで入居できない場合がある
- シックハウス症候群になる可能性がある
- 退去費用が高くなりやすい
家賃が高い
賃貸の新築は人気があり希少性も高いため、他の物件よりも家賃が高い傾向にあります。
さらに家賃が高いと、入居に必要な諸費用も多くかかります。
賃貸の価格が影響する初期費用は、以下の通りです。
項目 | 内容 | 相場 |
敷金 | 賃料の未払いや退去時の原状回復費用などの担保としての預り金 | 家賃の1ヶ月分 |
礼金 | 貸主への謝礼 | 家賃の1ヶ月分 |
日割り家賃 | 月の途中で賃貸契約を締結した際に発生する家賃 | 家賃÷月の日数×入居日数 |
仲介手数料 | 不動産会社に支払う報酬 | 家賃の1ヶ月分が上限 |
初回保証料 | 保証会社と保証委託契約を結ぶ際に支払う費用 | 家賃の50〜100% |
賃貸を契約する際に発生する費用は、家賃をもとに設定されているものが多くあります。
このため、賃貸の新築は家賃が高いことに加え、初期費用の負担も大きくなります。
内見ができない賃貸の新築は建築中の段階で入居者を募集することが多く、実際に住む部屋を内見しないまま契約を結ぶケースがあります。
賃貸物件サイトに掲載されているのは間取り図や外観のみで、部屋の内装はほとんど確認できません。
このような理由から、入居後にイメージしていた部屋とのギャップを感じる人もいます。
新築はとてもきれいで魅力的ですが、内見できずに住み始めると理想の住まいとの隔たりに後悔することもあります。
予定したタイミングで入居できない場合がある
建築中の賃貸の物件は工期の遅れがあると、予定したとおりに入居できない可能性があります。
予定したタイミングで入居できないと、工事が完了して住めるようになるまでの仮住まいが必要です。
この場合、予定通りに工事が完了できなかった施工業者に責任があり、債務不履行に当たります。
そのため、契約通りに入居できていれば発生しなかった仮住まいなどの費用は、施工業者に請求できます。
賃貸の新築は予定のタイミングで入居できないケースもあるため、契約する際は遅延損害金の定めがあるか確認するとよいでしょう。
シックハウス症候群になる可能性がある
新築物件は建材に含まれる化学物質が放散して、シックハウス症候群にかかりやすい傾向があります。
シックハウス症候群は建物から出る化学物質が室内に充満し、人が体内に吸い込むことで健康被害を引き起こします。
シックハウス症候群の主な症状は、以下の通りです。
- 目や鼻の炎症
- 頭痛
- 吐き気
- めまい
- 倦怠感
- ぜんそく
- アレルギー など
新築物件は化学物質の揮発する量が多いため、シックハウス症候群になりやすいといわれています。
退去費用が高くなりやすい
賃貸の新築は誰も入居していない物件を借りるため、室内の傷は入居者のせいにされてしまいがちです。
そのため、退去費用が高額になるケースがあります。
新築であっても工事の段階で傷が発生している場合もあります。
もし、入居の段階で傷などを発見したときは、写真を撮影して直ちに貸主に連絡してください。
賃貸の新築物件のメリット
賃貸の新築は真新しい建物に最新の設備が取り付けられているため、快適な生活がおくれます。
新築物件のメリットには、以下のものが挙げられます。
- 外観・内観ともに新しくて美しい
- 設備が最新
- 角部屋が取りやすい
- 防音性が高い
- 虫が出にくい
外観・内観ともに新しくて美しい
賃貸の新築は建てられてからまもないため、外観・内観の美しさが際立ちます。
エントランスやエレベーターなどの共用部分は傷や汚れがついていないため、快適に暮らせるのが新築の大きなメリットです。
また、室内も誰も使用していない状態で入居できるので、気分よく生活を始められます。
新築は住む人に深い満足感を与えます。
設備が最新
新築物件は最新の設備が備え付けられていることも人気の理由です。
日々進化を遂げる室内設備は、快適な生活をサポートをしてくれます。
貸主は入居率を高めるために、需要の高い設備を導入したいと考えています。
2023年10月14日の全国賃貸住宅新聞では、以下のような人気設備のランキングを発表しました。
順位 | 単身者向け | ファミリー向け |
1 | インターネット無料 | インターネット無料 |
2 | エントランスのオートロック | エントランスのオートロック |
3 | 高速インターネット | 追いだき機能 |
4 | 宅配ボックス | システムキッチン |
5 | 浴室換気乾燥機 | 宅配ボックス |
6 | 独立洗面台 | 高速インターネット |
7 | システムキッチン | 浴室換気乾燥機 |
8 | 防犯カメラ | 24時間利用可能ごみ置き場 |
9 | 24時間利用可能ごみ置き場 | ウォークインクローゼット |
10 | ウォークインクローゼット | ガレージ |
最新で人気の設備は、入居者に高い満足感を与えます。
貸主は入居者層に合わせた人気の設備を取り付けて、多くの契約を取り付けようとしています。
角部屋が取りやすい
賃貸の新築物件は一斉に募集を開始することが多いです。
特に隣の部屋に挟まれていない角部屋は、一棟の物件のなかにわずかしかありません。
そのため、角部屋や2階以上などの人気の物件が確保しやすいメリットがあります。
人気があり希少性の高い角部屋も、新築物件の一斉募集開始時に申し込めば、入居できる可能性が高まります。
多くの選択肢から、自分のライフスタイルにあった部屋が選べるのも新築のメリットです。
防音性が高い
近年ハウスメーカーによる技術革新で、新築物件の防音性が向上しています。
防音性の高い物件なら隣近所の騒音に悩まされたり、物音を立てないように気を遣ったりする生活から解放されより快適に暮らせます。
各ハウスメーカーは防音効果を高めるため、以下のシステムを開発しました。
ハウスメーカー | 防音システム | 特徴 | 採用年 |
シャーメゾン | シャイド50 | 上階からの床の衝撃音を遮断 | 2015年 |
大和ハウス | サイレントハイブリッドスラブ50 | 軽量鉄骨造の骨組みと高強度の床版を組み合わせて遮音性を向上 | 2012年 |
大東建託 | ノイズレスシステム | 高遮音床と高遮音階段を組み合わせた防音システム | 2013年 |
ヘーベルハウス | ANRフロア | 遮音性の高い床を採用し防音性能が向上 | 2018年 |
ミサワホーム | 床制振ダンパー | 床の振動の伝達を抑え防音機能を向上 | 2008年 |
参照:大和ハウス 高遮音床仕様「サイレントハイブリッドスラブ50」
参照:大東建託 NEWS RELEASE(2013年11月18日)
参照:旭化成不動産レジデンス HEBEL HAUSの賃貸住宅へーベルメゾン
参照:ミサワホーム 賃貸住宅に「床制振ダンパー」を用いた高遮音床を採用
賃貸の新築は遮音性が強化されたシステムを採用している物件が多いため、より静かで快適な生活がおくれます。
虫が出にくい
人間の生活とともに発生するゴキブリなどの害虫は、新築物件では発生しにくいといえます。
虫の苦手な人にとって、新築は安心できる住まいになるでしょう。
オウチーノ総研が2013年7月に発表した「住居内「虫トラブル」実態調査!」で、築年数と虫の遭遇回数についてのデータがあります。
参照URL:オウチーノ総研 住宅内の「虫トラブル」実態調査!
調査ではゴキブリなどの害虫との遭遇件数は、築年数が経過するほど高まっています。
このデータから、新築ほど虫が出にくいことが伺えます。
賃貸の新築物件を選ぶ際の注意点
賃貸の新築には完成前に契約を結ばなければならないため、既存物件にはない注意事項があります。
新築物件を選ぶ際に気を付ける点は、以下の通りです。
- 類似物件を内見する
- 現地で周辺環境をチェックする
- 迷ったら仮押さえする
類似物件を内見する
賃貸の新築の募集が完成前に行われ内見ができないときは、同一のハウスメーカーが建築した類似の物件を内見するとイメージしやすいです。
建築中の物件は間取りなどはわかりますが、それだけでは実際に住んでみると想像と違ってがっかりしてしまうこともあります。
また、入居希望と似たものがない場合は、工事が休みの日などに中を見せてもらうのも物件を見定める一つの手段です。
現地で周辺環境をチェックする
賃貸の新築を選ぶ際は、駅までの距離や近隣の商業施設に何があるのかを現地に行って確認してください。
物件の周りを実際に自分の目で見ると、賃貸情報サイトには掲載されていないような地域の特性がわかります。
特に治安の良し悪しや騒音の発生がないかなどは、重要なチェック項目です。
迷ったら仮押さえする
新築物件は希少性が高く人気があるため、入居を迷っているうちに他の人が契約してしまう可能性があります。
内見ができなかったり、家賃が相場より高かったりなどですぐに決断ができない場合は、仮押さえして考える時間を確保する方法もあります。
ただし、仮押さえができない物件も存在しますので、すべての新築で使える手法ではありません。
新築の家賃が高いと思ったらリノベーション物件も検討する
新築は美しい部屋で生活をスタートできるため、多くの人の羨望を集めています。
しかし、家賃が相場よりも高く新築物件に踏み切れない人もいるかもしれません。
そのような人は、見た目が新築同様のリノベーション物件を検討してはいかがでしょうか。
リノベーション物件は新築よりも家賃が安くすむ
リノベーションは時代に合わなくなった中古物件を作り替えて、最新の間取りに変更します。
既存の建物を利用するため、新築よりも家賃が低く抑えられます。
新築の家賃では負担が大きいと感じるなら、リノベーション物件という選択肢も検討に加えてください。
リノベーション物件は新築並みにきれい
リノベーション物件はリフォームよりも大規模な工事を施し、新築同様の美しい状態に作り替えます。
リフォームとリノベーションの違いは、以下の通りです。
リフォーム | 既存の建物の機能や性能を改善するための改装 |
リノベーション | 建物の基本構造にも手を加え間取りやデザインなどの根本的な再構築を行う |
リノベーションは中古物件を利用するものの大がかりな工事を施すため、新築並のきれいな部屋に生まれ変わります。
リノベーション物件は最新の生活様式を取り入れて刷新されている
多くのリノベーション物件は、現代のライフスタイルに合わせた間取りに変更され、設備も新しくされています。
リノベーション物件なら新築にあこがれていた人でも、美しさや住み心地、機能性などに納得してもらえるはずです。
家賃が高くて賃貸の新築をためらっているなら、リノベーションされた物件に住むのもおすすめです。
まとめ
この記事では賃貸の新築は本当にやめた方がいいのかについて、メリットとデメリットを比較して検証しました。
- 賃貸の新築のメリットは外観と内観が美しく気分よく生活を始められる
- 賃貸の新築のデメリットは建築中だと内覧できない
- 賃貸の新築を選ぶ際は周辺環境を実際に確かめるとよい
- 賃貸の新築の家賃相場は高いと感じるならリノベーション物件も検討する
- リノベーション物件は中古物件を生かし大規模な改修をするので新築同様の見栄えになる
賃貸の新築は希少性があり人気が高いため家賃が高く設定されています。
それにもかかわらず、内覧できない場合があり実際に住んでみるとイメージとのギャップを感じ後悔する人もいます。
住み替えで失敗を避けるためには選択肢を広げて、さまざまな物件を検討するとよいでしょう。
そこで新築に興味があるものの家賃が高くて尻込みしている人は、リノベーション物件も候補に入れてください。
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